宮台 真司(みやだい しんじ、「宮臺眞司」とも表記。1959年3月3日 - )は、日本の社会学者・映画批評家。社会学博士(東京大学・1990年)(学位論文「権力の予期理論〜了解を媒介にした作動形式〜」 )。元東京都立大学教授。大学院大学至善館特任教授。「オウム事件真相究明の会」呼びかけ人。宮城県仙台市出身。ニックネームは「しんちゃん」。

経歴

1950年代 - 1980年代———祭りとアングラ演劇

1959年、仙台市に生まれる。小学校は父親の転勤に伴い仙台市から埼玉県入間郡富士見町(現富士見市)へ転校、その後小学生時代の大部分を京都市で、小学6年生の秋から大学生時代を東京都三鷹市と神奈川県大和市で過ごす。小学生時代、6回転校を経験した。小学校時代については、度重なる転校経験や早生まれという身体的なハンディキャップがあったことなどから、「周囲やコミュニティーに対するコミュニケーションの手法について、非常に意識的だった」、「『自分』をどのようなキャラクターとして演じるか、転校するごとに自分で考えて切り替えていた」と宮台は振り返っている。

1971年、学園紛争で荒廃していた麻布中学校・高等学校に進学する。宮台も、この頃から好んで哲学や思想の本を読むようになる。1977年、高校卒業後駿台予備学校に入学。一浪後の1978年、東京大学文科三類に進学する。廣松渉・小室直樹・見田宗介・吉田民人らに師事した。1980年東京大学文学部社会学科進学、1982年東京大学大学院社会学研究科入学。

社会学者の佐藤俊樹によると、東大の「規範研究会(木曜午後開催)」のメンバーであった。メンバーは全員で6人で、坂本佳鶴恵、石川洋明、奥山敏雄、そして立岩真也。佐藤は、はじめて、当時、修士2年生だった宮台にあった時の印象について、「その歩き方をみて『まるでトンボ型の宇宙人みたいだなあ』と思ったのが、宮台さんに対するぼくの第一印象である」と振り返っている。

1984年、同大学院修士課程修了。

高校2年生から3年生、大学1年生から2年生当時は学校にほとんど通っていなかったと述べている。

1990年代——援交から革命へ

1990年、権力関係を数理的(数理社会学)に分析する論文『権力の予期理論』で社会学博士の学位を取得。1993年からブルセラ、援助交際、オウム真理教などを論じる。

『中央公論』1994年1月号に山崎浩一、秋元康との「逆襲された「メディアの神話」(′93世相座談会)」と題した対談が掲載された。1999年から神保哲生が代表を務めるインターネット放送局ビデオニュース・ドットコムで、神保とともに『マル激トーク・オン・ディマンド』のホストを務めている。

1990年代後半から、内藤朝雄やノンフィクション作家の藤井誠二と管理教育についての取材・研究をもとにした書籍を発表する。

2000年代 - 2010年代前半——実践の失敗と「天皇主義」

宮台の門下生として、鈴木謙介、西田亮介、鈴木弘輝、塚越健司、堀内進之介らがいる。

2010年代後半 - 2020年代——〈社会〉と〈世界〉

2018年頃より、哲学者の丹羽一晃やラッパーのダースレイダーがゼミに顔を出し始める。さらに2020年4月より、ダースレイダーと共に定期的に「100分de宮台」という動画配信を行っている。

2024年3月、東京都立大学教授を定年退職、私塾を始める。 退職後は慣例として停年退職した教員に授与される名誉教授の称号を与えられることはなかった 。

年譜

  • 1959年3月3日 - 誕生。
  • 1965年4月 - 東北大学附属小学校(現: 宮城教育大学附属小学校)入学
    • 富士見市立鶴瀬西小学校(現: 富士見市立つるせ台小学校)に転校。
    • 京都市立松尾小学校に転校。
    • 京都市立山階小学校に転校。
    • 京都市立安朱小学校に転校。
    • 三鷹市立第六小学校に転校。
  • 1971年3月 - 三鷹市立第六小学校卒業。
  • 1974年3月 - 麻布中学校卒業
  • 1977年3月 - 麻布高等学校卒業
  • 1982年3月 - 東京大学文学部社会学専修課程卒業
  • 1984年3月 - 東京大学大学院社会学研究科社会学Aコース修士課程修了
  • 1987年3月 - 東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学
  • 1987年4月 - 東京大学教養学部助手(社会学教室)
  • 1990年3月 - 東京大学大学院社会学研究科博士課程社会学博士学位取得(学位論文「権力の予期理論〜了解を媒介にした作動形式〜」)
  • 1991年4月 - 東京外国語大学外国語学部専任講師(社会学教室)
  • 1993年4月 - 東京都立大学人文学部社会学科助教授(社会学教室)
  • 2007年4月 - 首都大学東京(東京都立大学が改組改名したもの)教授(社会学分野)昇任
  • 2018年8月 - 大学院大学至善館特任教授。
  • 2022年11月 - 東京都立大学南大沢キャンパス構内で面識のない男に襲撃され重傷を負う。
  • 2024年2月 - 20歳の女子大生にラブホテルなどで取材し、返礼として相談に乗るなどの不適切な行動を取り大学の信用を失墜させたとして、東京都立大学より20日付で戒告の懲戒処分を受けた。

南大沢キャンパスでの傷害事件

2022年11月29日 16時30分頃、宮台が教授を務める八王子市の東京都立大学南大沢キャンパス構内で面識のない男に後頭部を殴打されたうえ、刃物で首など数か所を刺され重傷を負った。「都立大の中で男性が顔を切られた」と目撃者の男性から110番通報され、病院に搬送された。全治約1か月の重傷となったが、命には別条はなく、同年12月7日に退院した。

宮台は警視庁捜査1課に対し、この男について「暗がりで誰かわからない」と話したほか、「男とは面識がない」と説明した。同年12月12日、警視庁捜査1課は殺人未遂容疑で行方を追っている男の動画と写真を公開した。事件発生から約2か月が経った2023年2月1日、容疑者とみられる男が死亡していたことが判明した。2022年12月16日に自殺を図ったとみられている。警視庁は2023年3月9日に男を容疑者死亡のまま殺人未遂容疑で書類送検した。

容疑者は相模原市南区に住む41歳の男である。自宅は都立大学から直線距離で約9kmの所にあり、都立大学や宮台との接点は確認されていない。男の母親はエホバの証人の現役の信者であり、男の自宅は以前は母親が信者たちとの集会場として使用していたものだった。ただし男は信者ではなく宗教2世ではない。男は神奈川県内の野球強豪校を卒業後、一度も職に就くことがなく引きこもり状態だった。警視庁によると、男の自宅からは約15年前に書かれたとみられるA6サイズのメモ帳3冊が見つかり、「大学教師なら人に偉そうに説教することを目的にしたらいけない」「学者が一番上に来てはいけない人種」「戦後の知性主義が日本を破壊した」などと学者や知識人を批判する内容の記載があった。

宮台によればエホバの証人はその教義において知識人を警戒し、大学や大学の教員を悪魔の手先としてみなしていること、加害者が国学系の「日本凄い」的な歴史書の愛読者で宮台と政治的立場が逆であることなどが原因で、自分が狙われたのではと推測している。また加害者がロスジェネ世代であることにも注目している。

写真週刊誌報道および懲戒処分

2023年12月17日、東京都品川区東大井の「きゅりあん」でトークライブを行い、翌日同会に出席した20歳の地方国立大学の女子大生を伴って渋谷区円山町のホテルの客室に滞在し、出てきたところを張り込んでいた光文社の記者によって撮影され、『FLASH』(2024年1月23日号)でスキャンダラスに報道された。

ところが取材を受けての宮台の状況に対する説明によれば、事実は報道内容とはいささか様相を異とするものであった。上記の雑誌でも一部紹介されたように、女子大生の上京の目的は、病気加療中の宮台を憂慮し、宮台の妻子に代わってがん研究会有明病院に付き添うためのものであった。さらに宮台によれば客室内では「いわゆる男女関係は一切ありませんでしたが...(中略)...互いを信頼し合う関係にはありました」とされ、この間、宮台は女子学生に対し「進路選択」と、「幼少期の家族関係に由来する人間関係についての願望水準低下を、どう克服するか」についての相談に乗っていたとしている。
すなわち宮台の説明からは、二人の会合は悩める女学生の心に寄り添おうとする宮台の教育者としての良心と義務感を端緒とするものであり、両者の関係は報道されたような不倫の間柄では決してなく、お互いを慮る純真な心情に支えられた清らかな師弟関係であったということが看取される。

しかしながら市井においては心を尽くした宮台の釈明は必ずしも額面通りには受け止められず、ときに当人にとって不本意と思われるであろうハレーションが引き起こされることにもなった。
例えば講談師の神田伯山は自身がパーソナリティを務めるラジオ番組の枕の部分で「ニッポンを明るくするニュース」として宮台の説明を滞在したホテルの宿泊代の廉価さ と合わせ、イジリの対象として取り上げた。このほか映画監督の二村ヒトシは、本件に対するメディアの報道姿勢を疑問視し「悩んでいる女性の話を聞いてあげて、そのまま説得・洗脳してセックスに持ち込む。あるいは女性の恋心だけを食っておいて、女性側が望むような交際をせず曖昧なままの関係を続ける」リベラル男性の欺瞞についての議論がもっとなされるべきとし本件を契機に現代社会におけるリベラリズムと社会倫理の問題が議論として喚起されるべきとした。

謝罪と反省の表明

報道の後、宮台はしばらくの間沈黙を保っていたが、その後自身の行動に対する総括を表明するようになった。翌月13日、これまで常連出演してきたビデオニュース・ドットコムのYouTube番組「マル激トーク・オン・ディマンド」に出演し、その席でMCで盟友の神保哲生から「世の中から後ろ指を指されるようなことは、自重していただきたい」と説諭されると、宮台は「世間をお騒がせしたこと」と問題を限定しつつも「何事も....今後、自重してまいります」と反省の意を表明した。それを機に言論活動にも変化が見られるようになり、例えば対談番組において「色々お騒がせしている....インチキ社会学者、です」と諧謔を交えて自己紹介するなど自身をも相対化した一皮むけた深みのある論評を行うようになっていった。
このほか週刊誌報道の後、宮台の家庭においては家族会議が開かれ、妻は子供たちに「しんちゃんはこういう人なの。知らなかったとしたら残念でした。こういう人だと承知して結婚したんだよ」と諭すと子供たちは納得してくれ、「スリーサンタ」(クリスマスプレゼント3回分を、妻と3人の子供達に贈る)の条件で手打ちが済み会議は大団円に納まったとのことである。
このような宮台の率直で内省的な態度表明は世間によっても好意的に受け止められ、一時は事態は沈静に向かうに思われたが、公的にはそれでは許されず勤務先の東京都公立大学法人より懲戒処分を受けるに至っている。

処分の後、宮台の行動の是非について様々な角度から意見が寄せられた。

人物

  • クリスチャンである。
  • 加速主義者である。そのため、彼のトランプ支持は一般的なトランプ支持とは異なり、トランプ氏を「アメリカ社会の欠陥人々がわかる形に開示する」、「逆説的な機会」として捉えている。そのため実質的には彼自身はトランプの政策や精神に賛同しているわけでは決してない。また、「クズ」「ヘタレ」などの暴言とも見える発言は、故意に相手に「そうなのかもしれない」という「衝撃」を与えることを目的としているため、この点においても加速主義的な戦略がうかがえる。
  • 「客観的な分析」を「主観的な主張」と履き違える日本の精神性を強く批判している。なお、統一教会問題の関する言及(「世直しとして機能した」)はその意味において誤解が続いている。
  • 宮台は芥正彦の劇「糸あやつり人形芝居『アンチェイン・マイ・ハート』」を見た際、あまりの衝撃でトランス状態に陥ったと語っている。後に芥と【早稲田祭2022】人物研究会主催講演会主催「芥正彦氏×宮台真司氏 実りなき社会で見る夢は芸術か、テロか」にて共演する。
  • 幼少時から霊感が強く、神秘的な経験を多く体験しており、不可解に思っていたが、現在では社会的に理解できる現象だという見解を持っているようである。
  • 「オウム真理教事件真相究明の会」の呼びかけ人であり、「似たような事件は必ず繰り返される」と松本死刑囚(麻原彰晃)を知らない若い世代へ警告を発信している。
  • 安倍晋三銃撃事件では自民党と統一教会についての関係を指摘しており、原理研究会(統一教会の学生フロント団体)が正体を隠して学生に対する勧誘活動をしていたことなどの警鐘を鳴らしているほか、「偏った世界観と過度な資金集めを特徴とする宗教団体が、フランス・ドイツなどのようにカルト指定されなかったことが大きい」などと自身が答えた箇所を朝日新聞が削除した事に関して苦言を呈している。また、国葬前日に公開された「REVOLUTION+1」の上映イベントにおいて「(国葬が)国辱の恥晒しとなって嬉しい」「(事件は)世直しとして機能した」と発言するなどしていた。
  • 宮台の祖父、父(大企業の経営陣。)とも東京大学卒であり、家庭内、親族が何も言わなくても自身が東京大学に行くことが当たり前と思われていたことが「キツイ」プレッシャーであり(結果的に東大受験を失敗して一浪後に入学)、この経験で「劣等感を抱くようになった」と吐露している。この点では徹底して暗殺後も非難を続けている安倍晋三に対しても、学歴面の境遇(同氏は成蹊大学卒だが、父方の祖父の安倍寛・母方の祖父の岸信介・父の安倍晋太郎がいずれも東大卒)は「他人事ではない」と発言している。しかし、同時に「劣等感は必ず埋め合わせのためのある種の過剰さを伴う」と断言し、安倍晋三を「劣等感の塊」と断定して政策運営、政治活動のすべてを完全否定してもいる。なお、自身も著作や発言の常套句に「クズ」「学歴が低い」「パー」「中卒レベル」「馬鹿」「トンマ」「ボンクラ」「落ちぶれた」「ヘタレ」「オタク」「似非」「劣等」「年貢を払ってる」等の過激なフレーズを駆使して著作・発言の端々に大量に織り込み、特に日本については「劣等国」「後進国」と断言している。ただし、彼自身が著作内でたびたび説明するように、それはあくまでも「啓蒙」の方法の一つであり、「目から鱗」の体験をすることで「仲間」とのディスコミュニケーションを解消することを目的としている。しかし一方でその「啓蒙」の効果を疑問視する声も少なくはない。
  • 宮台は、自身が「双極性障害Ⅱ型(正確には双極II型障害)と発達障害を両方持っている」と明言した。

主張

憲法・安保

  • 「対米ケツナメを右だと考える馬鹿右翼と、護憲平和を左だと考える馬鹿左翼」を批判している。
  • 1990年代はリベラルを名乗っていたが、2000年代になると天皇主義に基づく思想も展開する。「解放的関心の強烈な『左』と、条理によって条理の限界を見極める『右』は、論理的に両立可能」と主張する。2000年代には通信傍受法や個人情報保護法、ポルノ規制強化などへの反対運動に参加。
  • 誤った右翼思想をもつと自らが定義した政治家に特に厳しく、「政府に逆らう者は反日分子」と発言した柏村武昭に対し、このような発言をする政治家を取り除くことが真の右翼であるとした。また小池百合子をアメリカ合衆国に何も条件をつけずにテロ対策特別措置法を延長したという理由で売国政治家とした。小泉内閣に関しては、その中期までは非常に好意的であり、メディアでも度々称賛してきた。ただし2006年頃から竹中平蔵の主導した市場原理主義を厳しく批判している。
  • 日本国憲法については改憲論者である。憲法改正をして、重武装し、対米中立であるべきであるとする。ここでの重武装とは対地反撃能力を中核とする抑止力としての反撃能力のことである。具体的には航続距離の長い爆撃機や長距離ミサイルを持つことで、激しい地上戦に持ち込まれないためにこそ重武装化すべきであると主張する。「重武装化と対米中立」化のためには、
    • アメリカ合衆国の機嫌を損なわないようにするにはどうするべきか
    • アジア諸国の疑惑や懸念をどう取り除くか
    • 憲法改正に必要な国民意思や、重武装を制御する頭脳(民度)をどう形成するか

などの障害を克服する必要があると主張する。また、押し付け憲法論は誤りだと主張する。

  • 田原総一朗に対しては批判的で、2019年4月のABEMA Primeにおいて「何のために朝生やってきたんだよ」と切り捨てた発言をしている。かつては『朝まで生テレビ!』の出演者から番組進行までの全てをプロデュースしており、田原の降番を主張したと述べている。ただしその後も対談はしている。
  • 徴兵制度
徴兵制度について、大韓民国で施行されている大韓民国国軍の徴兵制度に対して賛意を示している。安藤美冬との対談において、宮台の教え子であるイ・ヒョンソクの「社会化→脱社会化→再社会化」という言葉を引用した上で、徴兵制を評価し、日本でも「ネット上で「許さん!」と噴き上がる」人間に対する「処方箋」として徴兵制を導入するのは有効ではないかという趣旨の発言をしている。
宮台は、日本に徴兵制度を導入するのは現実的に不可能であるとするが、徴兵制度があると自分が、あるいは自分の子どもが、戦地に送られる可能性があるので、シビリアンコントロール(文民統制)のあり方をちゃんとチェックしよう、そのためにちゃんとした政治家を選ぼうという意欲が非常に強くなる。それが政治参加意欲の大きな原動力になると主張する。

原発

トリチウム生物濃縮説の提示
2023年政府による福島原発の処理水の排出に関して、「排出されたトリチウムを摂取した有機体の体内にトリチウムが濃縮して蓄積される」とする独自の学説を提示した。この主張に対し、物理学者(素粒子物理学)の多田将、医学者(放射線疫学)の高村昇、実業家の堀江貴文 、経済評論家の上念司らの有識者によって各々の専門的見地から反論が向けられた。
宮台は英国の自然環境保護団体の市民活動家のレポートを根拠にトリチウム生物濃縮説を確信したとしている。その一方、福島大学、茨城大学、日本放射線影響学会 などの学術研究機関によって、トリチウムは海産物などの体内に蓄積しない、との一連の研究報告が公表されている。
(宮台が自身の主張の根拠として、権威ある学術誌に掲載されたと太鼓判を押した論文に対する三菱総研による評価報告についてはを参照のこと。ちなみに同報告は宮台が例示した、Andrew Turner (et al.)2009については、生物濃縮の可能性を示唆する先行研究を紹介しただけのものであり、生物濃縮が起こる根拠を示す実験等を行ったものではない、としている。このほかBenedict C. Jaeschke(et al.)2013についても、生物濃縮に関しては可能性として言及しているに過ぎない、としている。)
有機結合型トリチウム説、さらに遺伝子におけるトリチウム原子の水素原子との置換説の提示
有識者達による一連の反論を受けると、今度は、問題なのは生物濃縮よりもむしろ有機結合型トリチウム(OBT)(有機物中の水素原子がトリチウムと置き換えられる現象)であるとし、そしてさらに、遺伝子中に取り込まれたトリチウム原子がβ崩壊しヘリウム原子に置き換わることでDNAを傷つける可能性があることである、という主張を展開し出した。ただし前者については2017年東京電力が実施した福島県熊川沖20km圏内における魚介物(ヒラメ)のサンプリング調査では、有機結合型トリチウム(OBT)は検出限界値未満(ND)である、と報告されており、後者については経済産業省は「トリチウム原子がヘリウム原子に変化することで遺伝子が受ける影響については、測定可能なレベルのものにもならない」と説明している。
宮台は予防原則を主張し「精査する義務は放出側」と国や東電側に対し説明責任を果たすことを要求していたが、こんどはステークホルダー(利害関係者)の調査結果は信用できないと強弁し、測定値を根拠に示された客観的事実の説明の受け入れを拒否し続けている。

映画

  • アントニオ・グラムシの影響で映画によって革命を起こすべく映画作家を目指し、それに役立つと考えて社会学を学んだ。
  • 映画監督の園子温とは個人的にも親交があり、園監督の「紀子の食卓」(2006年)を非常に高く評価している。また「愛のむきだし」(2008年)には、新宗教の指導者の一人として出演している。「ヒミズ」(2012年)では、テレビの中で東日本大震災について語る知識人という役で出演している。「ラブ&ピース」(2015年6月27日、アスミック・エース)では、討論番組での知識人の一人として出演している。

性について・結婚

  • 性風俗、自身の性体験などについても活発に研究・発言している。売春合法化論者。援助交際を専門的に調べるきっかけは、当時付き合っていた女子高生が、援助交際をやっていたからだった。過去にテレフォンクラブにハマっていた時期があったが、母親に50枚の会員証が見つかり、すべて捨てられている。なお、その後も続けていた。
  • 中学高校時代、空手道部に所属していた新入部員のときに、先輩から愛撫の仕方などを学んだとして、次のように自著で書いている。「先輩に全身なめられて、『宮台君はアドレナリンの匂いがするね。感じてるよ。チンチン勃ってるじゃないか』」と、全身を愛撫されたあと言われた。また、中学時代には中央線でよく男の痴漢にあったとして、「触ってくるのが男でも、あの年代はすぐに変な気分になってチンチンが勃ちます(笑)。 しかも男が男に触られてるんだと恥ずかしくて、女の子みたいに 『この人痴漢です!』って言えないじゃないですか。だから触られ放題で、ずいぶん感じさせられました」と自身の体験について発言している。
  • 宮台が最初に結婚したのは、イタズラ好きな友人からもらった、水を垂らすだけで陽性反応と同じサインを示すエイズ検査のダミーキットを、それとは知らずに、当時交際していた女性と自分の唾液を混ぜて使ったところが、エイズの陽性反応が出たと思い込んだことがきっかけであるが、その後にテレフォンクラブ問題の報道が要因となり、離婚に至る。
  • 現在の伴侶は、東京大学名誉教授佐伯胖の娘であるが、過去に佐伯の教育論を大批判しており、結婚を決めた女性が、その佐伯の娘であるとは知らず、佐伯の両親に結婚の挨拶しに行くのが大変困った。妻は良妻賢母の女性で上記のように夫のスキャンダルに際して、シリアスな話題にもユーモアを混ぜ込ませるという機転を利かせ見事に家庭崩壊を防いでいる。
  • 2024年1月8日、がん研有明病院の治療等に同行する、地方国立大学に通う20歳女性の存在がスクープされた。新刊共著者の生駒明は「本が発売になるタイミングで宮台氏が話題になるのは偶然にしてもびっくりです。宮台氏の解説はとても素晴らしいもので、ありがたかったです」と絶賛した。

オウム事件真相究明の会

  • 2018年6月4日に立ち上げ記者会見を行った「オウム事件真相究明の会」では、呼びかけ人として名前を連ねた。オウム真理教については、教祖の麻原彰晃(2018年7月6日死刑執行)に対する確定判決で、「被告人は、東京に大量のサリンを散布して首都を壊滅しその後にオウム国家を建設して自ら日本を支配することなどを企て、ヘリコプターの購入及び出家信者によるヘリコプターの操縦免許の取得を図るとともに、大量のサリンを生成するサリンプラントの建設を教団幹部らに指示したものというべきである」という事実認定がされているが、宮台はこの記者会見で、「いわゆるですね私利私欲に基づく犯罪、人殺し、あるいは、いわゆる誰から見ても脅迫だと分かるような手段による、そうした手段を用いた命令による人殺しと今回の事件は違っているんですね」「今の凶悪犯罪と違って、自分は攻撃性は無いと、人を憎んではいない」と述べた。これに対して江川紹子、滝本太郎、青沼陽一郎、山口貴士は、長年に渡って行われていた裁判の結果を見ていない、信者の主張を助けているなどと批判した。

評価

政治学者の姜尚中は「宮台さんこそ、現代における丸山眞男のもっとも卓越した後継者」と評価している。

ジャーナリストの石井孝明は「大した事もしていない、社会から忘れられた人間が、目立ちたいがために過激な発言を繰り返している」「(安倍元総理の暗殺事件を肯定するなどした事が)自身への襲撃を招いたのではないかも知れない」と、宮台自身の発言がテロを誘発していると非難している。

著作

単著

共著

単行本シリーズ

M2

宮崎哲弥との共著

  • 『M2われらの時代に』(朝日新聞社、2002年)
  • 『ニッポン問題。M2:2』(インフォバーン、2003年)
  • 『エイリアンズ――論壇外知性体による「侵犯」的時評'03-'04』(インフォバーン、2004年)
  • 『M2:思考のロバストネス』(インフォバーン、2006年)
  • 『M2:ナショナリズムの作法』(インフォバーン、2007年)

マル激

神保哲生との共著

  • 『漂流するメディア政治――情報利権と新世紀の世界秩序』(春秋社、2002年)
  • 『アメリカン・ディストピア――21世紀の戦争とジャーナリズム』(春秋社、2003年)
  • 『ネット社会の未来像』(春秋社、2006年)
  • 『天皇と日本のナショナリズム』(春秋社、2006年)
  • 『中国――隣りの大国とのつきあいかた』(春秋社、2007年)
  • 『教育をめぐる虚構と真実』(春秋社、2008年)
  • 『沖縄の真実、ヤマトの欺瞞』(春秋社、2010年)
  • 『地震と原発 今からの危機』(扶桑社、2011年)
  • 『増税は誰のためか 』(扶桑社、2012年)
  • 『反グローバリゼーションとポピュリズム 「トランプ化」する世界』(光文社、2017年)
  • 『暴走する検察 歪んだ正義と日本の劣化』(光文社、2020年)

人生の教科書

藤原和博との共著

  • 『人生の教科書「よのなか」』(筑摩書房、1998年)
  • 『人生の教科書「ルール」』(筑摩書房、1999年)
    • 1つの文庫本にまとめた『人生の教科書「よのなかのルール」』が出版されている(ちくま文庫、2005年)。

編著

  • 『教育「真」論――That's Japan special:連続シンポジウムの記録』(ウェイツ、2004年)
  • 『サブカル「真」論――That's Japan special:連続シンポジウムの記録』(ウェイツ、2005年)
  • 『統治・自律・民主主義―パターナリズムの政治社会学』(現代位相研究所、2012年)

共編著

  • (門脇厚司)『「異界」を生きる少年少女』(東洋館出版社、1995年)
  • (鈴木弘輝)『21世紀の現実――社会学の挑戦』(ミネルヴァ書房、2004年)
  • (高岡健)『こころ「真」論:連続シンポジウムの記録』(ウェイツ、2006年)
  • (辻泉・岡井崇之)『「男らしさ」の快楽――ポピュラー文化からみたその実態』(勁草書房、2009年)

共訳書

  • (大澤真幸)G・スペンサー=ブラウン『形式の法則』(朝日出版社、1987年)

その他

  • 『行為と役割』,(『社会学の基礎』(今田高俊・友枝敏雄=編,有斐閣)に収蔵)

出演番組

  • マル激トーク・オン・ディマンド(ビデオニュース・ドットコム)
  • 深掘TV ver2(ニコニコ生放送)
  • DOMMUNE RADIOPEDIA(DOMMUNE)-「オルタナティブカルチャー・ラボラトリー」と題して、ダースレイダーとともに周縁文化や社会現象を語る。ライブストリーミング・チャンネルDOMMUNEのスタジオで公開配信を行い、アーカイブはAmazon Musicのポッドキャストから配信される。

備考

  • TEPCOインターカレッジデザイン選手権 審査委員
  • 第27期東京都青少年問題協議会 委員

脚注

注釈

出典

外部リンク

  • MIYADAI.com Blog
  • 宮台真司 (@miyadai) - X(旧Twitter)
  • ビデオニュース・ドットコム (神保哲生と毎週放送するインターネット放送)
  • 教員紹介 :: 宮台 真司 | 東京都立大学
  • マル激!メールマガジン(まぐまぐ)

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