溶存無機炭素(ようぞんむきたんそ、dissolved inorganic carbon, DIC)は溶液中の無機炭素の総称である。全無機炭素(ぜんむきたんそ、total carbon, TIC, CT)とも呼ばれる。無機炭素には二酸化炭素 (CO2)、炭酸、炭酸イオンや重炭酸イオンが含まれる。慣例として、二酸化炭素と炭酸を合わせて CO2* として示す。CT は自然界の水系のpHに関する測定を行う際や、二酸化炭素の移動速度を見積もるのに用いられるパラメーターであり、以下の式で表される。

C T = [ CO 2 ] [ HCO 3 ] [ CO 3 2 ] {\displaystyle {\ce {C_{T}= [CO2*] [HCO3^{-}] [CO3^{2^-}]}}}

ここで、[CO2*] は二酸化炭素と炭酸の濃度の合計、[HCO−
3] は重炭酸イオン濃度、[CO2−
3] は炭酸イオン濃度である。これらの化学種は以下のような平衡混合物として存在し、それらの比は溶液のpHによって変化する。

CO 2 H 2 O H 2 CO 3 H HCO 3 2 H CO 3 2 {\displaystyle {\ce {CO2 H2O <=> H2CO3 <=> H HCO3^- <=> 2H CO3^{2-}}}}

全無機炭素の量は、試料を酸性にすることによって上記の平衡を左に偏らせ、二酸化炭素に変換したうえで行う。二酸化炭素は気体として放出されるのでこれを捕集し、赤外分光法などによって定量する。

外部リンク

  • ワイスバード リチャード、石井雅男、福島武彦 ほか、自然水域での溶存無機態炭素の測定方法 陸水学雑誌 1995年 56巻 3号 p.221-226, doi:10.3739/rikusui.56.221
  • 土屋理恵、和田秀樹、加速器質量分析計による14C測定のための海水溶存無機炭素真空抽出法 静岡大学地球科学研究報告 2002-07, 29巻 p.113-118, doi:10.14945/00000381

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